COLUMN コラム
秋の味覚をいつまでも

季節は秋真っ盛り。昔から「秋の夜長」「読書の秋」「スポーツの秋」「食欲の秋」などと言われるように、秋にはさまざまな楽しみがある。60代となった今でも、秋になると無性に食べたくなるものがある。
私は現在、血糖値のコントロールのために通院し、薬の処方を受けるとともに、管理栄養士から長年にわたって栄養指導を受けている。今年7月の栄養指導では、生活習慣や飲酒、食事について、いわゆる「喝」を入れられた。自分としても「このままではいかん」と思い、指導に従って食事を見直し、歩くことも心掛けた。
その生活を2か月ほど続けたところ、体重は4〜5kg減った。胴回りも細くなり、普段はいているズボンのウエストがガバガバになってしまった。そこで、ズボンをお直しに出したところ、4cm詰めることになった。本来なら6cm詰めてもよいと言われたのだが、リバウンドが心配だったので、ひとまず4cmにとどめた。ベルトも4cm切ることになったのである。
そして先日、定期通院で血糖値に関する指標を確認したところ、8月の採血結果が見事に改善していた。これには管理栄養士からもお褒めの言葉を頂戴した。ところが、その日の体重測定では、前回よりも少し体重が増えていた。体重もウエストも減ったことで、いつの間にか食事や飲酒に対する気の緩みが生じていたのかもしれない。反省するとともに、改めて適量の食事と飲酒を心掛け、運動にも取り組もうと決意したところである。
そんなわけで、食事の量にも気を配らなければならない身ではあるが、やはり秋になると食べたくなるものがある。毎年楽しみにしているのが、サンマ、秋鮭(あきあじ)、イクラの醤油漬け、そして栗ご飯である。できれば、落葉キノコの味噌汁も食べたい。秋の理想の食卓は、大きなサンマの塩焼きに大根おろし、生の栗を入れて炊いた新米の栗ご飯、落葉キノコの味噌汁。それに、ナスとキュウリの浅漬けがあれば申し分ない。
また、メスの秋鮭を一尾購入した日は、まさに鮭づくしである。イクラの醤油漬けをご飯にたっぷりのせれば、ご飯が進む。鮭のあら汁、フライ、塩焼き、ちゃんちゃん焼きと、いろいろな料理が楽しめる。思い浮かべるだけでも食欲が湧いてくるが、こうした料理を思う存分食べていた頃が懐かしい。
しかし、今年は食事への気配りとは別に、北海道の秋の味覚を取り巻く環境の変化も気になるところである。
地球温暖化が世界的な環境問題として広く認識されるようになってから、長い年月が経つ。1997年には、京都議定書が採択され温室効果ガスの排出削減に向けた国際的な取り組みが進められてきた。当時はテレビの討論番組などで、地球温暖化そのものを否定する論客もいたが、今では温暖化の影響がさまざまな場面で取り上げられるようになった。
本州各地では猛暑や酷暑が話題となり、北海道でも夏の暑さが厳しくなっているように感じる。もちろん、個々の気象現象を地球温暖化だけに直接結び付けることはできない。しかし、海水温の上昇などが漁業に与える影響は、海鮮好きの私にとっても気になる問題である。
近年、北海道の漁業をめぐって気になるのは、函館方面のイカの不漁、サンマの不漁、そして何よりも秋鮭(あきあじ)の不漁である。一方で、これまで北海道近海ではあまり見られなかった魚種の漁獲が増えているとも聞く。ブリやフグもよいが、秋にはやはり秋鮭が食べたい。昔から親しんできた秋の味覚を、これからも変わらず楽しめるのだろうか。そんなことが気になる今日この頃である。
もう一つ、秋になると食べたくなるのが、山の味覚である落葉キノコの味噌汁だ。
昔は山に入って落葉キノコを採ったこともある。しかし、最近はクマの出没が怖く、山菜採りにも行っていない。それでも、どうしても落葉キノコの味噌汁が食べたくなり、昨年、道の駅で中国産の落葉キノコの瓶詰めを購入して食べてみた。これが十分においしかったのである。
ただ、産地や品質について気になることもあり、それ以来、購入していない。できれば、産地や品質を確かめたうえで、安心して食べられる落葉キノコを手に入れたいものだ。
食欲の秋とはいえ、血糖値の管理を考えれば、好きなものを好きなだけ食べるわけにはいかない。食事の量や飲酒に気を配り、運動も続けながら、健康と上手に付き合っていく必要がある。
それでも、秋には秋ならではの楽しみがある。残念ながら、今年は自家製のイクラの醤油漬けを食べることはできなかったが、来年こそは、秋の味覚を楽しみたいと願っている。
この記事を書いた人
江端 貢



